· 

人工筋肉を搭載した超軽量のソフト昆虫ロボット「DEAnsect」

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のHerbert Shea教授を中心とする研究チームは、2019年12月18日、どのような地形でも秒速3cmで移動する超軽量の昆虫ロボット「DEAnsect」 を開発したと発表した。この昆虫ロボットは人工筋肉を使用しており、折り畳まれたりつぶされたりしても動き続けるという。研究成果は、2019年12月18日付『Science Robotics』誌で発表されている。

 

この研究ではソフトロボットを2種類開発したという。1つ目は、極細ワイヤーでつながれたロボットで、非常に頑丈なロボットだ。折り畳んだり、ハエたたきでたたいたり、靴で押しつぶしたりしてもその動きに影響を及ぼすことはない。

 

2つ目は、ワイヤーなしで動作する自律型ロボットだ。バッテリーと電子部品全てを背面に搭載し、重量は1g未満。このインテリジェントな昆虫ロボットは、指令を出す頭脳となるマイクロコントローラーと眼の役割を果たすフォトダイオードを装備。白黒模様を認識でき、地面に描かれた線をたどることができるという。

 

DEAnsectが動く仕組みは振動推進だ。DEAnsectは、髪の毛と同じぐらい細い人工筋肉の一種である誘電エラストマーアクチュエータ(dielectric elastomer actuators:DEA)を搭載しており、DEAは振動によって前方へと推進させる。このDEAを採用したことで、昆虫ロボットは軽量かつ素早く動くことができ、どのような形状の表面でも移動可能だという。

人工筋肉は、2つの柔らかい電極の間に挟まれたエラストマー膜で構成されており、電圧をかけると電極が互いに引き付けられて膜を圧縮し、電圧がオフになると元の形状に戻る性質を持つ。

 

昆虫ロボットにはこの人工筋肉から成る脚が3本あり、毎秒400回以上という高速で電圧をオン/オフ切り替えすることで昆虫ロボットの動きを発生させている。

https://fabcross.jp/news/2020/20200120_deansect.html